書評
2025年6月16日、17日のカナダにおけるG7会合は、トランプ大統領がイランとの戦争に向けたNSC会議で不在となる中、呼ばれていないのに物乞いに来たゼレンスキー氏はトランプ大統領に相手にされず、残ったG6の首脳達から「まあ頑張ってくれ。」という励ましを…
ロシアのウクライナ侵攻について、米国も含むネットでは過去の経緯からロシアにも理屈があり、戦況についても一方的にロシアが苦戦している訳ではないとし、一方的にロシアに制裁を科し、ウクライナを軍事支援することは問題解決にならないばかりか、核戦争…
社会に影響力のある集団が共通の認識を持つと、社会はその集団が考える方向に進んでゆきます。それは陰謀でも何でもなく自然な事です。会社の経営陣が会議で共通の認識を持てば、その会社の経営方針は経営陣の共通認識に基づいて決められて行き、現場の一社…
書評 「危機の正体」 コロナ時代を生き抜く技法 佐藤 優 著 朝日新書 2020年8月刊 コロナに関する書籍が店頭に沢山並ぶようになりました。医学的な面については2020年1月の時点からrakitarouとしては分析を出していて「メディアなどで喧伝される内容」とは一…
脳科学者の中野信子氏の著作「サイコパス」文春新書1094(2016年刊)は23刷を重ねるベストセラーで、内容も世間を騒がすサイコパスの実体を解り易く解説してある良書だと思います。私もぼんやりとした知識しかなかったのでその概念や実体をまとめる勉強にな…
岩波の雑誌「世界」4月号の特集は「権威主義という罠」という題名で、なかなか興味深い内容でした。権威主義というのはあまり聞き慣れない言葉ですが、wikiなどによると、「民主主義」と暴力による独裁である「専制主義」の間にある支配体制であり、「権威…
日本の本当の黒幕 上下 鬼塚英明 成甲書房 2013年刊 幕末から維新・昭和初期まで生き抜いて、伊藤博文の時代に明治天皇の宮内大臣を勤め、以降日本の黒幕として政界・経済界に影響を及ぼし続けた田中光顕(1843−1939)を中心に歴史の表では語られる事のない…
「天皇のロザリオ」 (上・下)鬼塚英昭 著 成甲書房2006年刊 天皇のロザリオは、1938年生まれの郷土史家である鬼塚英昭氏が昭和天皇九州巡幸時の「別府事件」を元に10年にわたる取材調査の末書き上げた天皇家とキリスト教との係わりについてまと…
・ かつてCIAは純粋な情報機関であった 「殺しのライセンス」というのは1989年の007の映画で邦題は1965年に別の映画で使われてしまったので「消されたライセンス」となっています。本来情報機関に働くスパイは自己防衛以外で相手を殺す事は許されていません…
書評 ハンガリー公使大久保利隆が見た三国同盟 高川邦子 著 芙蓉書房2015年刊 第二次大戦中イタリアが降伏し、ドイツの劣勢も明らかになり始めた1943年晩秋、赴任先のハンガリーから天皇に状況報告のため、自らの職と命をかけて帰国した日本人外交官 大久保…
書評「欺かれた歴史」松岡洋右と三国同盟の裏面 斉藤良衛 著 中公文庫2012年刊 学校の歴史で習う日独伊三国同盟とは、多くの人達にとって第二次大戦における民主主義連合国家に対抗するファシズム枢軸国家群としての「悪の同盟」というイメージしかないと思…
書評「やがて死ぬけしき」 玄侑宗久著 サンガ新書2016年刊 「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」 という芭蕉の句からヒントを得て付けられた題名で、商品化される墓や葬儀、大震災と死、がん治療や新薬の登場まで、現代の死の様相を考えるとともに、いろは歌…
書評 日本が中国の属国にさせられる日 副島隆彦 著 2016年刊 KKベストセラーズ やや衝撃的で挑戦的な題名の本で、販売戦略上ある程度キャッチーなタイトルにせざるを得ない点があったことは前書きにも書いてあるのですが、内容は今までの氏の著作とは少し趣…
書評「憲法改正の真実」小林 節、樋口陽一 著 集英社新書0826A 2016年刊 集団的自衛権を日本が発動する事を合憲と解釈した上での立法について、参考人として国会に招聘され、招聘した自民党の意に反して「違憲」を明言した「改憲派」の憲法学者の小…
書評 ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒 適菜 収著 講談社+α文庫2015年刊 早稲田大学でニーチェを専攻した哲学者の適菜収氏が市ヶ谷の自衛隊司令部で自刃した文学者三島由紀夫の思想を紹介しつつ、真の保守とは何かを解説し、一方で保守を自任しながら日…
書評 市民ホスピスへの道 山崎章郎、二の坂保喜、米沢 慧 著 春秋社 2015年刊 日本におけるホスピスのあり方について、実践を通して進めてきた医師である山崎章郎氏と二の坂保喜氏、そして高齢者や終末期医療のあり方について研究を進めておられる評論家…
書評「転生の秘密」ジナ・サーミナラ著 多賀 瑛訳 たま出版1985 1945年に世を去り、ケーシー療法として前世療法やリーディングによる不治の病に対する治療を行ったエドガー・ケーシーについての判り易い解説本です。執筆されたのは1950年であり…
前回の生まれ変わりについての論考でも人間の魂が死後復活して再生を繰り返すという思想は、人は神が創造し、神の復活に際して裁きがあるというキリスト教の教えに反するはずと記しました。ハロウイーンの収穫祭で死者の魂に対峙するというのは元々古いケル…
書評 輪廻転生 <私>をつなぐ生まれ変わりの物語 竹倉史人 著 講談社現代新書 2333 東京大学を出て東京工業大学の社会学の博士課程に在学中の著者が社会的にブームとも言える前世療法などの根本をなす「生まれ変わり」の思想について、世界における原始宗教…
書評 いのちを受けとめるかたちー身寄りになること 米沢 慧 木星舎 2015年刊 ホスピスや老いをいかに生きるかを深く考察する米沢 慧氏の新刊で、年4回福岡で開かれている氏のセミナーの講演を採録し本にしたものです。この本で注目すべき点は、癌死を「…
書評 東京が壊滅する日 —フクシマと日本の運命— 広瀬 隆 著 2015年刊 ダイヤモンド社 やや刺激的な題名ですが、内容は福島第一原発事故の被害、特に内部被曝によって今後10年以内に関東を含む300km圏内の居住者から大量のがん患者が出るだろうというものです…
書評 「未完のファシズム」—持たざる国・日本の運命— 片山杜秀 著 新潮選書 2012年刊 慶応大学法学部教授で音楽・思想史研究家である著者が、日本を敗戦に導いた無謀な戦争計画と日本軍の精神主義の系譜を、日本軍における戦略史を振り返りながら解説した非…
書評 イスラーム 生と死と聖戦 中田 考 著 集英社新書 2015年刊 イスラム国関連で話題になったイスラム教信者でありイスラム法学者でもある中田 考氏のまさにムスリムにとっての死生観と聖戦について解りやすく解説した本で、特にキリスト教との違いや今話題…
書評 帝国憲法の真実 倉山 満 扶桑社新書 165 2014年刊 気鋭の歴史学者で所謂ポツダム史観・東京裁判史観というものに「タブー視せずにおかしい事はおかしいと言おう」という論陣を張って人気を得ている人が書いた、大日本帝国憲法と現行憲法との比較です。 …
書評 「絶望の裁判所」講談社現代新書2250 2014年刊 瀬木比呂志 著 「日本の裁判」 講談社現代新書2297 2015年刊 瀬木比呂志 著 元裁判官で明治大学法科大学院教授の瀬木比呂志氏が、旧態とした閉鎖社会の裁判所の実態を暴露し、司法界に旋風を巻き起こした…
書評「マスコミより確かな習近平の言い分」孔健 著 三五館 2014年刊 孔子直系75代目の子孫で、世界孔子協会会長で日本在住の 孔 健 氏が日本に住む中国人の立場から習近平と最近の中国情勢、日本に対する見方を解説した本です。日本に1985年以来住んでいると…
書評 「世界を戦争に導くグローバリズム」中野剛志 著 集英社新書 0755 2014年刊 筆者はTPP亡国論などでメディアでも有名で、東大から通産省に入省し、その後京都大学で教鞭を取っていた政治経済学者です。本書は氏の本来の専門である政治学についてであり、…
書評 申し訳ない御社をつぶしたのは私です。(コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする) カレン・フェラン著 神崎朗子訳 大和書房2014年刊 和名も人目を惹く物ですが、原題名もI’m sorry I broke your companyであり、罪を認めて誤ったりしないア…
書評 米中対決-見えない戦争(ハヤカワ文庫NV) ドルー・チャップマン/奥村章子(訳) 2014年刊 最近はあまりSF的な小説は読まないのですが、本屋で表題に惹かれて、パラパラと内容を見るとなかなか面白そうだったので思わず買ってしまった本だったのですが、…
書評 自由市場の終焉(国家資本主義とどう闘うか) イアン・ブレマー著 有賀裕子訳 日本経済新聞出版社 2011年刊 市場原理主義の究極の姿がグローバリズム経済とすれば、G7に象徴される先進国(米英仏独加伊日)はグローバリズムを推進していると言えますが…